【決勝】第8戦|ツインリンクもてぎ

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シリーズ最終戦は15番グリッドから12位フィニッシュへ

2016シーズンを締めくくる第8戦。最終戦を前にシリーズ優勝の可能性を逸したチームは有終の美を飾るとともに、来るべき新しいシーズンのために高いパフォーマンスを示すべく、250kmのレースに挑む。最終戦はレギュレーションによって全車ノーハンデ。仕切り直しのぶつかり合いだ。

午前の予選結果により15番グリッドからスタート。ドライバーはヨルグ・ミューラー選手が起用された。整ったフォーメーションから危なげなくスタートしたヨルグ・ミューラー選手は15番手のポジションをキープして、スムーズにレースに入る。ただし、履いているタイヤは予選で使ったものであったこと、また路面に落ちていたタイヤ片がトレッド面に付着したこともあり、序盤からアンダーステアに悩まされる。5周目には決勝レースチームベストの1分51秒098をマークするものの競り合いの中、ポジションを14番手、16番手と前後に移しながら、後続を抑えるのにも苦労する展開に。

硬直状態を打開すべく、チームは動く。17周目に予定していたピットインを1周早めて、15周目にピットサインをヨルグ・ミューラー選手に示す。16周目には他チームも含めピットインするマシンが続く。タイヤを交換しない無交換作戦を選ぶチームもある一方、BMW Team Studieはタイヤ4輪を交換。メカニックたちは完璧な作業で期待に応え、No.7 Studie BMW M6のステアリングを荒 聖治選手に託す。

BMW M6がレーストラックへ戻ると、順位は23番手まで後退。周回を重ねるとピットインするマシンなどの影響で23周目には19番手となる。このポジションでハイアベレージを保つ環境を得た、荒 聖治選手はタイヤの性能を温存しながらも遠慮なく1分51秒台のラップを量産。GT300のトップグループと比べても遜色のないタイムでプッシュする。

26周目には18番手、30周目には16番手と着実にポジションを押し上げる荒 聖治選手。34周目を超えるとスタートポジションの15番手にまで回復し、すぐさま14番手までポジションを上げた。38周目に13番手にまで上ると、ペースを落とさず、果敢にポイントダッシュを狙う荒 聖治選手。

ファイナルラップを迎え、目の前を走行していたJAF-GTのマシンを射程距離に収める。チームが無線でパッシングを要請。荒 聖治選手は見事にこれに応え、12位でチェッカーフラッグを受けた。

チームが本来残すべきリザルトとはほど遠い結果となったものの、一糸乱れぬレース運びでチームパフォーマンスが確実に底上げされていることを示した。

ニューマシン、新体制で挑んだ2016シーズン、チームランキングは34ポイントで年間14位となった。

ヨルグ・ミューラー選手
公式練習が雨だったからドライ路面で走れなかったのが響いたね。マシンのポテンシャルを十分に発揮させられなかった。ただ、チームの働きは素晴らしかったよ。シーズンを通してはとってもタフだった。とっても暑かった富士に続いて鈴鹿でもノーポイント。改善しなければいけないところが見つかった。だけど、いつも通り前を向いていくよ。もう、次のシーズンのことしか頭にないよ。冬の間にマシンを良くするのに全力を尽くすつもり。ヨコハマタイヤとも一緒になってやっていかなきゃね。そしてチャンピオンシップに向かっていくんだ!

荒 聖治選手
今日のレースに関しては、決勝のレースに関していえば、(トップグループから)それほど離されてはいないものの、もう少し速く走れる準備を整えていかなければならないと。狙っていた順位まで上げることもできませんでした。そこは辛いところですね。ベストを尽くしましたが、もっと前に行って、たくさんポイントを獲りたかった。コンディションが変わって難しい局面はあったとしても、そんな状況でも手応えを感じながら闘えるようにしていきたいと改めて感じています。シーズンを振り返ると、思うようにいかなかったレースが多かった。開幕こそいい走り出しだったんだけど、それ以降は思うように運ばなかった。ストレスの溜まるレースが続いてしまいましたね。来年、このチームで走ることが決まったら、もっと強くなって皆んなでサーキットへ戻ってきます。もっと楽しいポジションで闘える1年間にしたいと思っています。

高根裕一郎チーフエンジニア
開幕戦で表彰台に登れたのは、タイヤがフィットして機能したことが要因でした。結果を残せた部分には理由があると思います。それ以降は熱害によってマシンにトラブルが発生したことが大きかった。チームのミスもありました。そういった積み重ねで、良い流れにならないままシーズンを終えてしまいました。来年に向けて課題はたくさんあると思っています。

山根 健テクニカルディレクター
新しいマシンを速く走らせるためには、さまざまな開発が必要であると改めて感じました。何が必要で、どうすれば良くなるのか方向性を見定めながら試験をしていかないと進歩するのは難しいです。次のステップとしては、より確かな開発試験を経て、レースを組み立てていくこと。それを痛感したシーズンでした。

鈴木康昭チーム代表兼監督
ツインリンクもてぎは抜きにくいコースだけに、予選15位に沈んだのが最終戦の敗因でした。今季はシーズンを通して同じ課題を抱えていて、予選でのここ一発の速さが足りていません。昨日の第3戦もそうだったのですが、決勝レースのペースは決して悪くありません。レースラップは優勝したチームと比べても遜色ないので。予選の速さ、決勝での耐久性を上げられるよう、ヨコハマタイヤとBMW M6とのマッチングを改善していかなければなりません。また、シーズンを振り返ってもトラブルをたくさん抱えていました。これは他チームのGT3マシンがすでに投入から1年間熟成されていたのに対して、BMW M6 GT3はデビューイヤー。ある程度は覚悟していましたが、ここまでトラブル続きになるとは想定していませんでした。もちろん日本は特別に暑いこともあります。そういったデータを受けて、BMWモータースポーツも改善に動いているので、来年は信頼性もアップすることになります。最終戦もBMWモータースポーツからエンジニアが2人きています。これだけBMWモータースポーツやBMW Group Japanのサポートを受けて、しかもヨルグ・ミューラーと荒 聖治をドライバーに起用していながら、今年の結果では話になりません。当然、ファンの方たちもガッカリされていることと思います。必ず挽回して、来シーズンを素晴らしいものにしたいと思っています。