【決勝】第5戦|富士

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メカニカルトラブルに悩まされながらも20位完走

メカニカルトラブルに見舞われて予選20位と不本意なポジションからのスタートとなったチームは決勝で再起をかける。スタートドライバーはヨルグ・ミューラー選手。前戦のスポーツランドSUGOではスタートラップ(うち半周)だけで5台を抜くジャンプアップを見せている。当然、チームの期待は高まる。ところがフォーメーションラップを終えキレイなスタートラップとなるが、ヨルグ・ミューラー選手から無線が入る「水温が高い」。そして刻々と変化する水温値を読み上げる。エンジン冷却水の温度が上がると、過給圧を抑えてパワーを下げるセキュリティが発動する。すぐにヨルグ・ミューラー選手の様子がおかしいことに気づく。ホームストレートで全くスピードが伸びない。ジャンプアップどころか後続に続々とパッシングされる時間帯が続く。

さらに追い討ちをかけたのが、ミッションのシフトチェンジが正しく作動しない。ついにスローダウンを余儀なくさせられるヨルグ・ミューラー選手。これは搭載されているCPUの過熱が疑われる。たまたまセーフティカーが入り、クールダウン走行で復帰する。

トラブルが重なりラップダウン。それでも1分41秒台のベストタイムをマークする。チームは打開策を模索しながら、ドライバーとタイヤチェンジ、給油のためにピットストップを決断した。

コースに出た荒 聖治選手はマシンの状況を観察しながら、慎重にペースアップを図ると、すぐに1分40秒台でこの日の決勝レースベストタイムを更新。BMW M6 GT3のパフォーマンスを引き出した。とはいえ水温の高さは変わらない。エンジン回転数を上げないといった選択肢を試しながらも、ハイペースを保つよう尽力する。トラブルが重なったとはいえ、最後まで諦めない荒 聖治選手。2周遅れ、60周をラップして完走のチェッカーフラッグを受けた。順位は20位となった。

また、もう1台のBMW M6 GT3で参戦する、N0.55 ARTA M6 GT3がポールトゥフィニッシュを達成。SUPER GT GT300クラスにおいて初優勝を飾った。

ヨルグ・ミューラー選手
「よくない結果になった。スタートしてトラフィックに捕まって、どんどんエンジンの水温が上がって、パワーが全然出なくなって、ストレートでバンバン抜かれて…。コーナーでも抜こうとしたけど、こうなるとチャンスがなかった。まいったね。鈴鹿は涼しいレースになることを願うよ」

荒 聖治選手
「厳しいレースになりました。この夏のレースはポイントをたくさん獲っていかなければいけないところ。いろいろ改善しなければならないところがあります。どこまで準備できるかわからないけれど、続く鈴鹿、タイは本当に重要なので、全員でベストを尽くしていきたいと思っています」

鈴木康昭チーム代表兼監督
「課題を改善して鈴鹿につなげていく、これに尽きます。そして今回のレース、(満足に闘える状況を整えられず)ドライバー2人には非常に辛い思いをさせてしまったこと。残念に思っています。(レース全体については)一番負けて悔しくない相手(No.55 ARTA BMW M6 GT3)が優勝したので嬉しいです」