【決勝】第2戦|富士
メカニカルトラブルに見舞われ戦線を離脱、24位に沈む
岡山からの連続入賞、そして初優勝を必達として挑んだ決勝レース。500kmのディスタンスはミニマム2ストップが定められており、3スティントを基本方針としてスタートドライバーに荒 聖治選手を起用する。予定通り14時に決勝がスタート。この時から快晴のもと気温も路温も上がっていた。2列目の位置、4番手から飛び出した荒 聖治選手はスリリングな駆け引きを制して、いきなり3番手に浮上。コントロールラインを通過すると、そのままの勢いで1コーナーの立ち上がりで2番手に上がった。このとき、1分38秒818をマークする鋭い走りをみせる。
上々の滑り出しと、力強い走りに勝利への道筋を見たのもつかの間、突然、ステアリングに異常を感じて予定外のピットイン。異常を感じた原因はパワーステアリングフルード漏れ。とてもレースを続けられない状態だった。大きなアクシデントに発展しなかったことにホッとしつつ、メカニックがフル回転で修復に努める。安全を確認した上で、ヨルグ・ミューラー選手がコースに復帰したときにはすでにトップから15周遅れ。事実上、ここで優勝への勝負権を失ってしまうものの、ヨルグ・ミューラー選手は1分39秒台のハイペースで巻き返しを図る。
想定以上の気温、路温にタイヤが悲鳴をあげ始めるものの、ヨルグ・ミューラー選手はプッシュし続けて期待通りの周回数をこなす。ピットインしてレースのフィニッシュを荒 聖治選手に託す。荒 聖治選手はニュータイヤに履き替えてピットロードを後にした。チームに残された「完走」の可能性に向けて駆ける。完走扱いになるにはレースの75%を走行しなければならない。GT500の先頭がチェッカーフラッグを受ける前に、そのボーダーラインを超えるために猛然とダッシュする荒 聖治選手。すると、気温と路温にマッチしないタイヤのフィーリングに再び苦しめられる。ハイペースを求められながらのタイヤマネージメント。苦しい展開が続く。このままゴールまで何とかたどり着いてほしい。その願いとは裏腹に、荒 聖治選手とチームはピットストップを選択。残り数周を残して4輪交換のジャッジメントを下した。万一、バーストしてしまえば完走は難しくなる。この判断が功を奏して、チームは86ラップを周回してフィニッシュ。諦めない走りで、見事に完走1ポイントを獲得してみせた。
ヨルグ・ミューラー選手
「パワーステアリングの問題だけじゃないんだ。いろいろ改善しなければならないところが見つかったので、次戦が楽しみ。我々はもっと強くなって帰ってくるよ。楽しみにしていて!」
荒 聖治選手
「残念、残念、残念の一言です。問題はいろいろありましたが、チームの一体感もあります。BMW M6のパフォーマンスもあります。足りないところをアップグレードして強いレースがしたいですね。そこに尽きます」
鈴木康昭チーム代表兼監督
「本当に悔しい。優勝への権利を失ったのはパワステホースのトラブルです。部品の問題なのか、設計の問題なのか、これから調査します。より大きな課題として捉えているのは、チームの総合力に欠けてるところがあること。これは次戦までに改善することが重要と考えています。BMW M6 GT3のポテンシャルを存分に発揮できるよう全力を尽くします。菅生はもちろん、夏の富士ではリベンジを誓います」
Text:ブンタ